息子が入院したのは4回目だ。
息子は生まれつき脇の下にこぶがあるので,その治療のために赤ん坊の頃2回入院。
3歳の誕生日を目前にして川崎病に罹患し入院。
そして今回。
アタシ自身は出産時にしか入院したことがないのだが、付き添いで毎回いっしょに入院しているのである。
その中で出会った、ちょっと印象深かったこんな先生のエピソード。
息子が「川崎病の疑い」と診断されて出向いた大きな病院で、初めて息子を診た若い小児科医は、眉間にしわを寄せ忌々しそうな,あるいは見たくないものを見るような、明らかに不愉快な表情をしていた。南海キャンディーズの山ちゃんにちょっと似た感じ。問診するのも重い口を渋々開いてといった具合で、これで本当に小児科医か?アタシの第一印象は最悪だった。
しかし実際入院してみると、回診のときなど子供に明るい表情で話しかけてくれ、ケロッピのシールをくれたりして優しかった。こちらの疑問にも誠実に答えてくれた。思ったほど悪い先生ではなさそうだ。
息子の病状が安定しまもなく退院というころ、消灯時間間近になって息子がプレイルームで遊びたいと言い出した。もうねんねの時間だからだめだよと言い聞かせ、ベッドに連れ帰ると、眠くなり始めていた息子はひどく泣きだした。その声はナースステーションまで響いてしまったらしい。
その時たまたまそれを聞きつけた先生が、駆け足で病室へ飛び込んで来たのだ。
どうした、どうした?…心配そうに子供の様子をのぞき込む先生。遊びたがって泣いているだけですと説明すると、先生はほっと安堵の表情にかわり「なあんだ遊びたいのかあ」と息子をなでてくれた。
この時アタシの先生に対する評価が180度変わったのはいうまでもない。
初診のときはなぜあれほど苦渋の表情だったのだろう。今となってはわからない。あの時すでにその病院に川崎病の子供が3人入院していたらしい。その年は全国的に川崎病の発生率が高かったという話も聞いた。憶測でしかないが、原因不明の疾患・川崎病が続々と発生している事実に、若い医師は頭を悩ませていたのではなかろうか。
その後その病院では小児科が廃止された。あの若い先生はどこへ行かれたのかわからないが、きっといい小児科医になるだろう。またどこかでお会いできることもあるだろうか。